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インドネシア 高速鉄道、日本が中国に負けた理由

インドネシアの高速鉄道建設を中国が受注した。

この高速鉄道建設は日中で激しく受注を争っていたがなぜ日本が負けたのか?

インドネシア高速鉄道とは?

インドネシアは首都ジャカルタから東のバンドンまで全長140kmの高速鉄道を建設する計画を立てた。

当初は時速250~300km程度の高速鉄道を計画していたが、2015年9月4日、高速鉄道建設を断念。2015年9月30日、時速200km程度の「中速鉄道」の建設を発表し、中国が受注した。

日本の新幹線はオーバースペックだった?

日本の新幹線は専用軌道をつくり、高度な信号システムで2~3分間隔で時速300kmの高速鉄道を運転する。

その分、一般には建設にコストがかかり、工期も長くなる傾向にある。

 インドネシア側の需要

現在の鉄道は、ジャカルタ~バンドン間190km(高速鉄道は直線的な線形なので140kmに短縮できる)の距離を3時間かけて運行している。

時速200kmでもノンストップで1時間程度、数駅停車でも1時間30分で運行することができるので、時速200kmの中速鉄道でも十分にメリットがある。

インドネシアの庶民にとって時速300kmの高速鉄道が作られても運賃が高くて乗れないのではないかという懸念があり、時速200km程度で運賃の安い交通手段が庶民には求められている。

ジャカルタ~バンドンの所要時間と運賃

鉄道 3時間、運賃 8万~12万ルピア(700円~1,000円)

バス 3時間、運賃 8万ルピア(700円)

タクシー2時間30分~3時間 40万ルピア(3,500円)3人乗れば一人1,200円

飛行機 40分~1時間

インドネシア人の一食当たりの外食費は100円なので、日本円で1,000円といっても、彼らにとってはかなり高額運賃だ。

大阪~名古屋との比較

大阪~名古屋間は、新幹線のぞみで50分(距離170km)でいける。しかし、運賃は約5,800円と高額なため、2時間30分かかる私鉄特急や3時間かかるバスも運行している。

インドネシアで高速鉄道が完成しても運賃が高いとインドネシアの一般庶民は乗れない可能性がある。

新幹線は在来線への乗り入れに消極的

新幹線は在来線への乗り入れには消極的で市街地の中心駅まで乗り入れる場合には専用の地下路線を新たに作ることが多い。

これは日本の在来線は狭軌であり、新幹線の標準軌と線路幅が異なるため、新幹線が日本の在来線に乗り入れることがなかったことが要因と思われる。

また、在来線と新幹線が同じ在来線を走行するためには高度な新幹線用信号システムと在来線用の信号システムの2系統を搭載する必要があり、日本の技術者は安全性の観点から積極的ではない。

ジョコ大統領とは

1961年生まれ、父親は大工。大学卒業後、小規模企業経営者から地方政治家になり、2014年大統領就任。庶民派、公正な政治、汚職撲滅を公約にしている。

ジャカルタとは

インドネシアの首都、人口950万人、都市圏人口3,000万人のメガシティ。標高は7m。

バンドンとは

バンドン市は西ジャワ州の州都で、人口約250万人のインドネシア第3の都市。標高は約800m。インドネシアの主要な大学が多く、繊維産業が盛ん。

日本の対インドネシアODA総額

2006年までで有償ODA250億ドル(3兆円)、無償ODA20億ドル(2400億円)、技術協力30億ドル(3600億円)の合計300億ドル(3兆6000億円)。

まとめ

インドネシア側にとっては、できるだけ低運賃というニーズが高い。日本だって大阪~名古屋間は「のそみ」で50分だが運賃は約5,800円、同じ区間をバスなら3時間かかるが運賃は約2,500円で低運賃交通手段の需要がある。インドネシアでも同じことだ。

インドネシアの民主化が進んだことで、従来のように一部の政治家だけを取り込む手法では受注できなくなってきた。

相手国の庶民のニーズを把握する努力が日本側に不足していたのかもしれない。

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