経済

ワールドはなぜ、400店舗閉店するのか?13ブランド撤退

老舗アパレルメーカー「ワールド」になにが起こったのか?

ワールドとは女性向けブランド「アンタイトル」男性向けブランド「タケオキクチ」などを展開する神戸発祥の老舗アパレルブランドだ。

現在のところ全国で約3,000店舗、90~100ブランドあり、売上高3,000億円(ネット通販140億円)。

400~500店舗を閉店、ブランドも10~15を廃止

2016年3月末までに、3,000店舗のうち、479店舗を閉店。13ブランドを廃止した。当初は10~15ブランド廃止予定だったので、今後もブランドを廃止する可能性がある。

廃止したブランド

レディース コキュ
ミニマム
アニマ
ジンジャーエール
メンズ ボイコット
ブラウンバニー

「アニマ」と「ジンジャーエール」の年商は1~3億円程度だった。

閉店の理由

不振の理由は、2000年ころから、全国に大型ショッピングモールが開業し、それにあわせて出店、新ブランドを立ち上げ経営を拡大した。

その結果、一時的には業績は拡大し、2007年には最高益を上げた。しかし、その後は、H&Mなどのファストファッションブランドとの競争が激しくなり、積極出店、新ブランド立ち上げが逆に売り上げ不振の原因になってしまった。

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販売チャンネルの変化

従来、アパレル大手はデパート中心の販売をしていたが、2000年ころより郊外型ショッピングモールが大量に建設され、モールも独自性をだすためアパレルメーカーに「独自ブランド」出店を要請した。

またデパート側もショッピングモールにデパートと同じブランドを出店することに抵抗感があったとされる。

このように顧客よりも販売側の事情でブランド数、店舗数が拡大してしまった。また、インターネット販売についても、ブランド数が多すぎて、消費者が目的の服を探すのに時間がかかりすぎる状態になっていた。そのためネット販売もやや出遅れた。

ブランド乱立の結果

ブランド数が多いとそのブランド向けに大量のデザインを考えないといけない。しかし、それがコスト増加につながり、収益を圧迫した。

そしてコスト削減のため、本来は異なるブランドなのに、似通ったデザインになり、そのことで、ブランドの独自デザインに興味があった顧客が離れていったと考えられる。

売れ筋を狙って逆に売れなくなった

アパレルのデザインは「流行の売れ筋」に影響され、似通ったデザインばかりになった。

アパレルは、食品と違い、自分の個性を重視するものだから、「売れ筋デザイン」ばかりになると逆に、販売数が伸びない。販売不振からセールで30%~50%引きで販売し通常価格で購入した顧客離れを招いた。

デザイナーとしては、売れ筋デザインなら大きな失敗はしないが、独自デザインなら失敗する可能性が高いので、リスクはとりたくない。結局、経営者がどれだけリスクをとれるかが重要になってくる。

欧米ブランドのサイズを意識して逆に売れなくなった

欧米ブランドを参考にサイズ展開した結果、男性なら身長175cm 体重60kgくらいでないと似合わない。高身長、細いサイズのブランドばかりになったため、比較的、余裕のある30代以上の体形には合わなくなった。

具体的に言うとユニクロならMサイズでもワールドのブランドではL~LLサイズになってしまう。

販売サイドはL~LLサイズで対応できると思っているのだろう。しかし、それは、顧客にとっては大きいサイズしか会わないということは不快なことだ。体系的に合う20代は価格的に買えない。

アパレル業界の常識として、Mサイズでデザインして、LサイズはMサイズの寸法を適当に1~2cm広げて縫製するだけだ。したがってデザイン的にはMサイズが一番きれいに見える。同じデザインといっても実際はLサイズとMサイズでは微妙に異なる。

Lサイズも単にMサイズを1~2cm大きくしただけではなく個別にデザインすればいいのだが、コスト的には現実的ではないようだ。

2015年3月決算が黒字転換した理由

2013年当期利益7億円の赤字、2014年当期利益16億円の赤字と2年連続赤字決算だったが、2015年決算からIFRS(国際財務報告基準)に変更し黒字決算になっている。

2015年3月決算 売上2,985億円、当期利益45億円。

またIFRS基準では2014年度決算は売上3,093億円、当期利益20億円となっている。

IFRS基準と日本基準の違い

日本基準は「のれん代」を償却する必要があるが、IFRS基準では「のれん代」を償却する必要がない。IFRS基準を採用すると「のれん代」の償却分だけ経費がすくなくなり利益が増加することになる。

「のれん代」とは、純資産1,000億円の企業を2,000億円で買収した際、差額1,000億円の「負の資産」のこと。日本基準ではこの「のれん代」を20年以内で償却しないといけなかった。実務上は5年で償却することが多かった。

今後の見通し

今後は2016年3月までに、400~500店舗閉店、10~15ブランドの削減により、経営資源を集中し立て直す方針。

ワールドの新経営戦略

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