国際情勢

イギリスはEU離脱しないかもしれない

2017年1月24日 EU離脱通知にはイギリス議会の承認が必要

2017年1月24日、イギリス最高裁は「EU離脱通知にはイギリス議会の承認が必要」とするイギリス高等法院判決を支持する判決を下した。

これにより、イギリス政府がEUに対して離脱通知するには、イギリス議会の過半数の賛成が必要になった。

メイ首相は、2017年3月にも、EU離脱通知を行う予定だったが、その前に議会の承認手続きが必要になり、スケジュールが遅れる可能性がある。

また、可能性は低いが、イギリス議会でEU離脱が否決されれば、イギリスはEUから離脱できないことになる。

2016年6月23日

2016年6月23日、イギリスは国民投票でEU離脱が決定した。正確に言うと、このイギリスの国民投票には法的拘束力はない。

したがって、EU離脱を決定したのは、イギリス政府ということになる。

しかし、外国との条約は、最終的に議会での承認が必要になるが、今回のイギリスのEU離脱について議会は承認していない。

これについてイギリス政府は、「国民投票の結果がEU離脱である以上、議会の承認は必要なく、政府の外交権を行使できる」と判断している。

イギリス高等法院判決

そこで、イギリス政府がEU離脱を決定したことはイギリスの憲法違反だとして民間人ジーナ・ミラー氏(投資ファンドマネージャー)が原告としてイギリス政府を訴えた。

注目された判決は、2016年11月3日、言い渡された。

イギリス高等法院は「EU離脱について、離脱手続きを開始するリスボン条約50条を発動にするにはイギリス議会の承認が必要」と判断した。

イギリス最高裁審理

2016年12月5日にEU離脱についてイギリス議会の承認が必要か否かについてイギリス最高裁で審理が始まっている。最高裁の判決は、2017年1月に下される予定。

リスボン条約50条

リスボン条約とは2009年に発効したEU基本条約で、加盟国の離脱手続きを定めている。

具体的には、加盟国は憲法上の要件に従い、EU離脱を決定できるとしている。この離脱手続きは、離脱国(今回の場合はイギリス)は欧州理事会に対して「離脱を通告」することで始まり、次に、離脱国とEUは離脱協定を締結する交渉をするとされている。

リスボン条約では、「離脱国の通告」が離脱国の議会の承認を必要とするかどうかについては規定していない。

この離脱協定が締結されなくても、離脱通告から2年後には自動的にEU法はイギリスには適用されなくなる。

イギリス・メイ政権の考え

イギリス政府は、「そもそも、EU離脱国民投票は、イギリス下院が過半数で決定したもので、改めて議会の承認は必要ない」との見解だ。今後も予定通り、2017年3月までにリスボン条約50条を発動するとしている。

最高裁で、EU離脱について議会の承認が必要と判断された場合、イギリス政府はEU離脱交渉を延期、または中止しないといけない事態になる。

-国際情勢