経済

伊勢丹の売上減少、伊勢丹に何が起こっているのか?

三越伊勢丹ホールディングスは2016年4月~2016年9月決算を公表した。それによると半期の売上は5,821億円と前年比-5.2%の減少となった。

百貨店業界の勝ち組とされた伊勢丹に何が起こっているのか?

伊勢丹新宿本店で売上の大半を上げる構造

三越伊勢丹ホールディングスは伊勢丹と三越が2008年に経営統合してできた。伊勢丹は新宿本店で売上の大半を上げる構造なっている。一方、三越は、日本橋本店、銀座店の売上は多いが、地方店舗もある程度の売上を上げている。

つまり、伊勢丹の不振は、伊勢丹新宿本店の不振を意味する。

店舗別 百貨店売上(2015年)

順位 店舗名 売上高
1位 伊勢丹新宿本店(東京都) 2,700億円
2位 阪急うめだ本店(大阪府) 2,200億円
3位 西武池袋本店(東京都) 1,900億円
4位 三越日本橋本店(東京都) 1,700億円
5位 高島屋日本橋本店(東京都) 1,400億円
6位 高島屋横浜店(神奈川県) 1,300億円
7位 JR名古屋高島屋(愛知県) 1,300億円
8位 高島屋大阪店(大阪府) 1,300億円
9位 松坂屋名古屋店(愛知県) 1,200億円
10位 そごう横浜店(神奈川県) 1,100億円

伊勢丹新宿本店の特徴

伊勢丹新宿本店の売り場面積は64,296平米で1平米当たりの年間売上は420万円と圧倒的に多い。

ちなみに、売上高2位の阪急うめだ本店の面積は約80,000平米で1平米あたり275万円、百貨店全体では1平米当たり平均100万円となっている。

なぜ、これほど伊勢丹新宿本店の面積当たりの売上が多いのか?

それは伊勢丹新宿本店が、最先端のファンションをいち早くとりいれ、いわゆる業界人や文化人が1着50万円~100万円のスーツを買っているからだ。

1着10万円以上のスーツを購入するのは消費者の1%なので、伊勢丹の顧客はそれよりも上位の超富裕層であることがわかる。

自主編集売り場

このような超富裕層は、なじみの店員が勧めるブランドを購入する傾向にある。それが伊勢丹の自主編集売り場の特徴だ。

自主編集売り場とは、ブランドで売り場を区切るのではなく、デパートが様々なブランドを同じ売り場で売るスタイルで、セレクトショップのようなイメージだ。

伊勢丹の自主編集売り場が不振

長年、伊勢丹の売上をけん引してきた自主編集売り場が不振になっている。というのは、顧客の高齢化、退職なので超富裕層が減少したが、新規の顧客の取り込みができていないからだ。

そもそも、現在の20歳~30歳はブランド志向が少なく、消費をしない。また、店員とのコミュニケーションの中で買い物するよりも、自分の好きなブランドを買う傾向にある。

ブランドの自主編集売り場を敬遠か?

2016年6月、クリスチャン・ルブタン(CHRISTIAN LOBOUTIN)が日本初のコスメストアを阪急うめだ本店(大阪)と銀座松屋にオープンさせた。

欧米のブランドは路面店で出店する傾向にあり、表参道、銀座の立地を好む。また百貨店でも、路面店のような区切った売り場を望むことが多い。

伊勢丹の自主編集売り場はブランドからも敬遠されている。

高島屋が富裕層を囲い込み?

世田谷、田園調布、成城などの高級住宅街から買い物に行く場合、車なら二子玉の高島屋が便利だ。東急東横線からは横浜高島屋が便利だし、新宿まで直通になったが、高島屋新宿店に行く傾向が強い。

つまり、田園都市線、東急東横線の高級住宅地は、高島屋(玉川、横浜、新宿)が囲いこんでいるのだ。高島屋のカード会員ならば8%~10%の割引を受けることができる。したがって、店舗数の多い高島屋で買い物するようになる。

伊勢丹新宿店と高島屋新宿店では伊勢丹新宿店の方が売上が多く、一見、伊勢丹が勝っているように見える。しかし、実際は、高島屋が玉川、横浜、新宿の3店舗で富裕層を囲いこんでいるのだ。

ちなみに、高島屋玉川店の売上は400億円、横浜店1,300億円、新宿店700億円で3店舗合計2,400億円となる。これは伊勢丹新宿店の売上2,700億円に匹敵する。

今後の見通し

2016年11月8日の記者会見で、伊勢丹松戸店、伊勢丹府中店、広島三越、松山三越の4店舗について、売り場面積の縮小、閉店、業態転換を検討していることを発表した。

従来は伊勢丹新宿本店の利益で、郊外のサテライト店舗の不振を穴埋めする構造になってたが新宿本店の売上減少により、それが困難になってきたのだ。

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